ゆうき農園 / いなべエリア

 

地元いなべで育ち、一度は県外で就職した後、Uターンで戻り有機農業をはじめた「森友喜」さん。
若い移住者のサポートをしながら少しずつ農地を広げ、体験農業のしくみも取り入れながら、10年が経ちました。
ナビゲーターである金工作家の柴田さんと共に、農作業中の森友喜さんに思いを伺いました。

 

–––こんにちは。お忙しいところありがとうございます。

 

友喜さん 「こんにちは!作業中ですみません。いま、石灰を撒いています。
この石灰はかき殻で、海の素材だからミネラル多くてよく育つんです」

 

–––今、農園は何人でやってらっしゃるんですか?

 

友喜さん 「出荷は手伝ってもらってるパートの方がいますが。農作業は2人ですよ!
僕ともうひとりは週3回ヘルプで入っている農業見習いの若者です」

柴田さん 「えぇ!? 2人で回るものなんですか?」

友喜さん 「いや〜、回らないですね(笑) 今はこのくらいの畑(0.2ha)を15枚くらいやってるんですけど、ちゃんとやれてないとこもあったりします」

 

 

生産農家として いなべの地に有機農業を根付かせるために、限られた時間の配分は難しい選択のようです。
作る人と食べる人を近づけたい、土や自然に触れられる場所をつくりたいと、長く続けていた農業体験も昨年から休止中とのこと。

 

友喜さん 「始めたころは売り方もわからなくて、とにかく畑に来てもらって自分のことをわかってもらおうと農業体験を続けていました。そこで繋がったお客さんとは今も仲良くしてもらっていて、新しいお客さんもそこから繋がることが多いんですよね。
ただ忙しくて回らなくなってしまったので、今はお休み中です。
でも畑には来てほしいので、体験用の畑を用意して『生姜をみんなで作ってジンジャーエール作ろう!』みたいな試みは再開しました」

 

一度は、大学から就活という一般的な流れにのって就職した友喜さん。
しかしすぐに「これは自分の進む道ではない」と思い、自分が故郷いなべを大好きであることに気がついたそうです。そして地元の自然と関わった仕事をと考えた時に、農業という選択になったとのこと。農業経験ゼロからのチャレンジだったそうです。
体験農園の発想は、子供たちに地元いなべの自然で活動する場を作りたいという思いからです。

 

友喜さん 「畑を始めた時は、これ(0.2ha)2枚くらいですかね。小さい規模の畑を開墾したり、家庭菜園か?というちょこっとしたのがスタートでした。
そのうち収穫したニンジンがジュースになって商品化されたり、子供たちが沢山食べてくれたりといったことでだんだん楽しくなっていって」

柴田さん 「こういう農業機械とかも地道に揃えたんですか?」

友喜さん 「全部ヤフオクで買った中古ですよ(笑) さすがに最初はトラクターとか揃えましたけど、実家が土建屋だったのもあって軽トラとか草刈機はあったんですよね。そこから少しずつ道具を揃えていったんです。
元々はあまり規模を大きくせずにやろうと思ってたんですけど、仕事の広がりが生まれないなと感じて。自己満足で終わらないように規模を拡大して、できること増やしていこうって考えるようになりました」

 

とにかく地元が大好きで、多くの人にいなべに来てほしいという思いがあるそうです。いなべに住んでみようかなと考える人には、アドバイスをしたり、時には家探しを手伝ったり。実際に、ここ数年は移住ブームで、色々な人が来て、賑やかになってきました。

 

友喜さん 「別に自分からアクション起こして、いなべに来る?と言っているわけではなく、誰かからの紹介で知り合って…という感じです」

柴田さん 「でも、『来てもらえたらいいな』って気持ちはいつもあるでしょ?

友喜さん 「それはそう! 移住する気が本気ならこっちも家探すし、農業も教えるしね。
やっぱり地元出身じゃないとできないことって沢山あるじゃないですか。自分はそういう役目なのかなって思います」

柴田さん 「僕も自分が引っ越して来る時、何も知らなくて、繋がりも無く、ネットで物件探して来ました。その時に友喜くんみたいな人がいたらありがたかったなぁ」

友喜さん 「ノゾムくんは逆にすごいわ(笑) むしろ移住する人ってすごい、とリスペクトしてます。だって移住して農業する時って家探さなきゃいけない、畑探さなきゃいけないでめっちゃハードル高いじゃないですか。意志を持ってやってるなら、それは自分も手伝いたい気持ちになります」

柴田さん 「移住して畑とかってなると、人とのつながりも大事ですしね。
30代で、元々いなべ出身の有機農家さんはいるんですか?」

友喜さん 「お米農家はちょこちょこいるんですが、野菜で無農薬・有機農業ってなるとあまりいないんですよね。僕自身そういう仲間を増やしたいなと思っていて、この4〜5年で5、6軒になりました。それはすごく嬉しいです」

 

 

–––体験農園以外で作業を手伝ってもらったりとかは?

 

友喜さん 「恒例行事的な感じでニンジンの間引き作業とか手伝ってもらっています。あくまで農家を助けるっていうスタンスなんで参加費もいらないようにして、お礼に間引いたニンジンを持って行ってもらったりしてます」

柴田さん 「去年、生姜畑の雑草抜き手伝ったりしたよね、楽しかった」

 

ご自身がゼロからのスタートだったため試行錯誤を繰り返し、4〜5年は苦労をされたとのこと。だからこそ、本気で農業をやりたいという若者が来れば、受け入れたいという。

 

友喜さん 「教えたいという気持ちはありますね。仲間だと思ってるんで包み隠さず全部教えます。そこで教えないと広がらないし。できればいなべで就農して欲しいという気持ちはありますけどね」

柴田さん 「何かのテレビ番組でもありましたよね、技術的なとこ隠さないで広めないと産地にならないって」

友喜さん 「一人の力だと限界があるんですよね。みんなで情報共有したり、手伝ったりしないと」

 

育てた野菜は、オーガニックマーケットでの販売など、顔の見える流通を大切にしていらっしゃいます。また、お客さんの元に届きやすい新しい仕組みを、有機農業の仲間と考えているそうです。
現在は、週1回ご自身で「野菜BOX」を配達。
柴田さんも購入しているとのこと。

 

柴田さん 「友喜くんの配達って一人暮らしの男性にとっては嬉しいんですよ。市場に行って『このズッキーニいいなぁ』なんて言って買えないじゃ無いですか。それよりもその時に美味しい野菜を届けて欲しいなって思った時に友喜くんに相談したら、単身世帯向けの野菜BOXを作ってもらえました」

友喜さん 「今多いんですかね?料理する一人暮らし男性って」

柴田さん 「料理やる人はやるんだったらちゃんとしたもの使いたいって思ってるんじゃないかな?」

 

とても忙しい友喜さんですが、この先、近い将来に取組みたいことはなにか、質問してみました。

 

友喜さん 「よく聞かれるんですが、今の状況に結構満足してるんです。10年前と比べたら今は良い流れになっていて、これが継続していくことが大事なのかなって。
あ、でも移住者だけじゃなく、いなべの良さを再認識して戻ってくるようなUターン組が増えないかなぁとは思ってますね。そのために何かをしている訳でもないですが」

柴田さん 「(いなべの有機農業仲間の)風くんが上木食堂やったり宿屋やったりしてるけど、友喜くんは次何かやってみようっていうのは?」

友喜さん 「ないね〜(笑) 、ただ、藤原市場が地元の人たちにとって開かれたイメージになればいいな、みたいなのはある。マックスバリュで野菜買ってるような感覚で藤原市場に来て欲しいね。もっと普通な存在になって欲しい」

 

–––そういうふうに、ゆったりしたスタンスだからこそ友喜さんに色々話が来たりするのかもしれないですね

 

柴田さん 「たしかに。有機農業やってる人って変に意識高くて仙人みたいなイメージあるもん」

友喜さん 「そうかなぁ、昨日なんて有機農家で集まってマックで会議したけどね(笑) 全然、気にしてないよ、そんなこと」」

柴田さん 「今日一番びっくりしたのは、友喜くんがほとんど一人でやってるってことだよね。友喜くんが関わってる話が多すぎて、畑を一人でやってるってイメージがなかったなぁ」

 

ゆったりとしたオープンマインドで様々な人やコトを受け入れる森友喜さん。
いなべに集まってくる、面白い人たちの中心にいる存在です。

 

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